あと1年は「ガソリンエンジンのみ」
今回、CX-5にディーゼルエンジンが継続されなかった理由は何か。
まず、最大の市場であるアメリカではディーゼルエンジン搭載車は以前から売れないという事情がある。アメリカではガソリンより軽油のほうが高価であり、車両価格も高くなってしまうディーゼル乗用車の市場がほとんどないのである。
ヨーロッパは10年ほど前まではディーゼル中心の市場だったが、2015年のフォルクスワーゲンのディーゼルゲート事件をきっかけに逆風となり、規制も強化されてメカニズムが複雑化したことで高価になった。
また日本と異なり軽油は税制上優遇されていないので、現在ヨーロッパのほとんどの国ではガソリンより軽油が高くなってしまっており、ディーゼル車の需要は大きく減少しているのだ。
CX-5は国際商品であり、国内販売は生産量全体の約8%(2025年)に過ぎない。ディーゼルはその半分だから約4%、その4%だけの需要のためだけにディーゼルは継続できない、という判断だったと思われる。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの長所を併せ持つユニークな新型エンジン、SKYACTIV-Zとマツダ独自のフルハイブリッドシステムを搭載したモデルも準備されているが、それは2027年中の発売予定なので、少なくとも1年は現行のマイルドハイブリッド仕様のガソリンエンジンのみで売っていかなければならない。
日本市場を「切り捨てた」選択
海外市場(主にアメリカ市場)を重視して日本市場をある程度切り捨てたと思われる要素がもう1つある。ボディサイズだ。
旧型CX-5の全幅は1845ミリだったが、新型は1860ミリに拡大されている。日本のマンションなどの機械式駐車場の多くは全幅を1850ミリに制限している(私が住むマンションも1850ミリである)。新型はそれを10ミリ超えているだけだから物理的には入ると思われるが、規定を超えている以上車庫証明を取ることはできない。
つまり、このような機械式駐車場を利用しているCX-5オーナーは新型に買い替えることができないのである。海外市場での競合車の全幅は1900ミリ近くまで拡大しており、「より広い室内を」という声を無視できなかったということだ。
こうして新型CX-5は、日本で支持されてきた理由と思われる特徴を2つ失ってしまったことになる。しかしほかに新型車がなく、マツダ2も販売停止となる以上、CX-5は絶対に売らなければいけないモデルなのである。

