なぜ高い給料は逆効果になるのか?

過去20年の間に、心理学者たちはいわゆる過剰正当化効果(高い外的報酬が内発的関心を抑圧することでパフォーマンスを損なう作用)について、説得力のある証拠を提供してきた。とりわけ、2つの大規模なメタ分析では、本質的に意味のある仕事の場合(クリエーティブな仕事はこのカテゴリーに入る)、外的報酬は関心を低下させるという結果が出た。だがプラスのフィードバックは、それが心からのものと認識されるかぎり内発的関心を損なわない。

要するに自分の好きなことをすることに対して、たくさんの報酬を与えられれば与えられるほど、人はそれを好きではなくなるということだ。イノベーションの才を持つ人々は金銭によって動くわけではない。20カ国の5万人以上のマネジャーを含む、われわれの調査データは、想像力や探究心が旺盛な人であるほど、商業的ニーズより人からの称賛や純然たる科学的好奇心によって動く傾向が強いことをはっきり示している。

また、クリエーティブな人間は、たとえそれが非生産的でも、絶え間ない変化を求めるように生まれついている。たとえ道に迷っても、毎日違う道を通って職場に行く。レストランでは、気に入った料理でも、決して毎回オーダーしない。創造力豊かな人間は複雑さを好み、複雑なことを単純にするのではなく逆に単純なことを複雑にするのが好きだ。1つの問題に対する答えを探すのではなく、いくつもの答えやいくつもの問題を見つけようとする。驚きを与え続けること、少なくとも彼らの生活をより予測しにくくするだけの混沌を彼らが生み出すのを容認することがきわめて重要だ。