使用できるかわからない「産油国共同備蓄」

また産油国共同備蓄は、前述したように日本にある原油タンクに貯蔵されているが、あくまで所有権は産油国にある。日本側は資金負担をしないで、半量の備蓄をしたことになっている。

わが国の産油国共同備蓄のパートナーは現在、サウジアラビアとUAEだが、両国とも「ホルムズ海峡の内側」にある。今回のホルムズ海峡「事実上の閉鎖」の影響をもろに受けている。

それぞれホルムズ海峡を迂回するパイプラインを所有しているが、必要量全量を送油できるほどの能力はない。

両国はまた、わが国以外とも共同備蓄を行っている。まさに今回のような緊急時の供給拠点を自国以外に確保するためだ。

当該共同備蓄は契約上、緊急事態には優先的に日本国内に供給されることになっているとされているが、残念ながら当該契約書は公表されていないようだ。だから真実は分からない。本当に緊急時にわが国が優先的に使用できるのだろうか?

いずれにせよ、今回のホルムズ海峡「事実上の閉鎖」状況の中でわが国もパートナー国も、緊急時だとして産油国共同備蓄を利用する姿勢は見せていない。ゆえに現時点では潜在的問題は露呈していないといえる。

このようにわが国の「備蓄」については、分からないことが多すぎるのである。

備蓄されている原油の「種類」も不明

さらに言えば、国家備蓄として貯蔵されている原油がどのような種類の原油なのか、それぞれどの程度の数量があるのか普通の人に知る由はない。

筆者の記憶では、国家備蓄を始めた初期には、当時、品質的に不人気だった「アラビア石油」のカフジ原油という重質油を買い上げ、充当していた。カフジ原油の販売不振で経済的苦境に陥っていた「アラビア石油」救済策としても有効な策だったからだ。

これから入札によって放出される原油は、どのような性状の原油なのだろうか?

また入札にあたって、どのような資格を持つ企業が応札でき、現実にどこの会社がいくらで落札するのか、したのか、発表されるのだろうか?

米国では、3月13日に行われた入札結果が、3月20日には発表されている。だが、わが国の入札に関する動静は、まったくと言っていいほど聞こえて来ない。

出所:在米日本人オイルトレーダー、Richard Huston氏の2026年3月20日「X」投稿より

このように「254日(あるいは246日)」あるから供給不足に陥ることはないと喧伝されている備蓄の実態について、政府は一般国民にどこまで本当のことを知らしめているのだろうか? はなはだ疑問である。