誤解3.「メンタルヘルスは個人の問題だ」

「社員の心の問題に会社が関与する必要はない」と考える経営者もまだいるかもしれません。しかし、この見方も誤解です。厚生労働省による調査によれば、職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は82.2%に上ります。

職場生活で強いストレスや悩みを抱えている人の割合と、その内容
成田恵、市村洋文著『社長、30分だけ私の悩みを聞いてください』(プレジデント社)より

その主な要因は、「仕事の量や質」「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」「仕事の失敗、責任の重さ」など、ほとんどが職場環境や業務上の要因です。メンタルヘルス不調が生じた場合、それを「本人の性格の問題」「私生活の問題」と片づけてしまうのは、現実を見誤ることになります。なぜなら、長時間労働、過剰なノルマ、評価制度の不公平、上司の指導スタイル、ハラスメントの横行など、組織の構造やマネジメントのあり方が、社員のメンタルヘルスを左右しているからです。

企業には、従業員の生命や健康を守る「安全配慮義務」が法的に課せられています。心の健康も当然その範囲に含まれ、過重労働や職場の人間関係に起因するうつ病や自殺が発生した場合には、企業側の責任が問われる可能性があります。最悪のケースにならないうちに、会社は適切な対応を取る必要があります。

また従業員のメンタルヘルスは組織の生産性や離職率に直結しており、決して個人だけの問題ではありません。従業員の心身の健康が守られてこそ本来のパフォーマンスが発揮され、生産性向上や離職防止につながります。メンタルヘルス対策は組織全体の安定と成長に関わる重要な経営課題なのです。

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