「改革」はたちまち骨抜きに…

ところがこの改正は、自民党の支持基盤である中小企業(それらの大半は同族会社)の既得権を直撃することになった。

その反発は予想以上の激しさで、彼らが政治家に陳情攻勢を行なった結果、早くも翌年には規制が大幅に緩和されてしまった。

当初の改正では、零細法人を保護するため、「役員報酬と法人所得の合計額の過去3年間の平均」が800万円以下であれば適用を除外するとの救済策が盛り込まれていた。この金額が、政治圧力によって翌年には倍の1600万円になり、2010年にはなんと制度そのものがなくなってしまった。

国税庁だけが知っていた

同族会社の給与所得控除をめぐる一連の経緯は、日本が民主国家である以上、この節税法が恒久的に機能することを教えてくれる。

与党から野党まで、どの政党にとっても地元の中小企業や自営業者は大事な票田だ。政権が誰の手に渡ろうとも、彼らの“米びつ”に手を突っ込むようなことができるはずはない。

いまはまだほとんどのひとが、フリーエージェントやマイクロ法人を自分には関係のない机上の空論だと考えている。だが国税庁だけは、フリーエージェント社会の到来が税の根幹を揺るがすことに気づいていたのだ。