マイクロ法人化で社会保険料を大幅削減

マスオさんが厚生年金に加入すると、サザエさんはこれまでどおり3号被保険者として、年金保険料を払わずに65歳以降は国民年金を満額受給できる。

さらに磯野家のように扶養家族が多い場合は、サザエさんはもちろん、カツオやワカメ、タラオ、あるいは波平やフネの健康保険も社会保険でまかなうことができる。

それに対してマスオさんがたんなる自営業者だと、国民年金はサザエさんと2人分で年額40万7520円。国民健康保険は、波平とフネが75歳未満の場合、サザエさんと子どもたちを含めた6人分の保険料が(所得がない場合の)均等割だけで年額44万3100円、これにマスオさん自身の国民健康保険料が加わる。

国民健康保険料の上限は110万円なので、マスオさんの総所得金額が1100万円を超えると、磯野家の国民年金・国民健康保険の負担はおよそ195万円になる。

独立したマスオさんは、マイクロ法人で社会保険に加入することによって、保険料負担を年間160万円以上(195万円-27万4000円)減らすことができたのだ。

磯野家はマイクロ法人化によって、月に1万6000円あまりの厚生年金保険料を払うことで、マスオさんの厚生年金のほかにサザエさんを無料で国民年金に加入させている。さらに月に6700円あまりの健康保険料しか払っていないのに、家族7人分の健康保険証が入手できた。

これはいかにも極端なケースだが、このように考えれば、磯野家にとってマイクロ法人化の恩恵がいかに大きいかわかるだろう。

「生活するための資産」があれば実現可能

もっともこの場合、なぜ年収75万円(社会保険料を除いた手取りは47万6000円)で生活できるのかが問われることも考えられる。

もっともありうるのは、マスオさんが株式・投資信託などを保有するか、不動産を賃貸しているなどで、法人以外から一定の収入があるケースだろう。あるいは波平にそれなりの金融資産があり、子どもや孫に贈与しているかもしれない。

親や祖父母からの贈与は年間110万円まで非課税なので、波平はサザエさん、その配偶者のマスオさん、カツオ、ワカメ、孫のタラオを合わせて最大で年に550万円を贈与できる。

これなら法人の役員報酬を引き下げることが可能になる。ただし厳密には、波平からカツオやワカメへの贈与をマスオさんが生活費として使った場合、マスオさんへの贈与として課税されることになる。それ以前に、カツオやワカメはこうした“搾取”に抵抗するだろう。