「声とカメラ」でつながる安心感
何かあってからでは遅い。けれど、今すぐ介護が必要という状態でもない。コロナ禍で身動きが取れなくなった経験から私たちの中に芽生えたのは、「できるだけ早く、“ゆるやかに”見守りを始めたい」という想いでした。
そんなとき、同じく海外で暮らす知人がこんな話をしてくれました。
「スマートスピーカーなら、親が倒れても“声だけで”助けを呼べるよ」
「連絡が取れなくなっても、こちらからカメラで中の様子を確認できる」
その言葉を聞いた瞬間、私たちは「これだ!」と思いました。
それまで「スマートスピーカー」といえば音楽を流す便利な家電というイメージしかありませんでした。けれど、知人の話から見えてきたのは、高齢の親を支える“見守りツール”としての可能性でした。
年末に届いた「小さな見守りの入口」
2021年12月、私たちはスマートスピーカーを購入し、帰省する年末年始のタイミングで実家に設置しました。
・母がいる実家にはスマートスピーカーを
・アメリカにいる私たち姉妹のスマホにはAIアシスタントのアプリを
それぞれインストールして設定し、双方向でやりとりができる環境を整えました。
当時、私たちもまだスマートスピーカーに馴染みがなかったのですが、何より母にとってはモニターが大きく見やすいこと、そして、私たちにとっては、声かけだけでつながる、母の様子がモニターで確認できる事が導入の決め手でした。
母の反応:「しゃべる箱」との新しい暮らし
iPhoneでさえ「難しい」と感じていた母は、初めて見る“しゃべる箱”に戸惑いながら、「何これ?」と不安そうでした。
まずはウェイクワード「アレクサ」という言葉に慣れてもらうためにスマートスピーカーの前に張り紙を貼って、それを読んで言葉にするところから始めました。
それでも相手は機械だし、口にした事のない外国人みたいな名前だし、何がどうなって、何をしてくれるのか、を理解するには、最初はなかなか大変でした。
「アレクサって誰?」「どうして答えてくれるの?」と、まるで外国人が部屋に突然現れたかのような不思議さを感じていたようです。
しかし、日が経つにつれて、少しずつ距離が縮まっていきました。
「今日の天気は?」
「音楽かけて」
「じゃんけんしよう」
最初は恐る恐る声をかけていた母も、次第に自然にスマートスピーカーを話し相手にするようになりました。
その姿は、母が新しい友達と仲良くなっていくのを見守るようで、私たち姉妹にとっても嬉しい変化でした。
その変化を見た私たちは、「これは本当に、ただの便利家電じゃない」と強く感じたのです。
