非対称的な利害構造
この利害構造は、日本だけでなくいかなる社会でも存在します。いかなる社会においても、国内労働者団体は原則として「できるだけ外国人労働者を入れるな」と言いつつ、労働市場の逼迫のために必要である限りにおいて最小限の外国人労働者を導入することを認め、その場合には「外国人労働者の待遇を上げろ」と主張するという、二正面作戦をとらざるを得ません。外国人労働問題を論じるということは、まずはこの一見矛盾するように見える二正面作戦の精神的負荷に耐えるところから始まります。
労働政策は労使の利害対立を前提としつつ、その間の妥協を両者にとってより望ましい形(ウィン‐ウィンの解決)で図っていくことを目指すものです。外国人労働者政策もその点では何ら変わりありません。ただその利害構造が、「できるだけ安い外国人労働者をできるだけ多く導入する」ことをめざす国内経営者と、「できるだけ外国人労働者を入れるな」と言いつつ「外国人労働者の待遇を上げろ」と主張せざるをえない国内労働者団体では、非対称的であるという点が特徴なのです。
法務省官僚の「強い意思」
日本の外国人労働政策も基本的には上述の労使間の利害構造の枠組みの中にあります。しかしながら、1980年代末以来の日本の外国人労働政策の大きな特徴は、そのような労使間の利害関係の中で政策を検討し、形成、実施していくという、どの社会でも当然行われてきたプロセスが事実上欠如してきたこと、より正確に言えば、初期にはそのような政策構想があったにもかかわらず、ある意図によって意識的にそのようなプロセスが排除され、労使の利害関係とは切り離された政策決定プロセスによってこの問題が独占され続けてきたことにあります。
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