寺崎氏は、「選ばれる大学の多様化」が今後の学歴と採用のあり方を変えると見る。

「東京外大やICU出身者の平均収入が高いのは語学力が高いことが理由の1つにある。そのスペックは日本企業が今、社員に求めるものと合致している。学生に海外留学を義務づけている国際教養大(秋田県)の卒業者の評価は今後、高くなるだろう。

東大をはじめ、旧帝大卒業者の能力と企業の求めるスペックが今後もマッチするかはわからない。早慶の場合、難易度は高いが、平均年収では卒業者数が少ないICUよりも低いのかもしれない。マス大学であれば、優秀な人もいればそうでない人もいる。採用試験のときはともかく、入社後は学歴と人事の評価や収入とが比例することは少ない。今後、その傾向は強くなるのではないか」

大学進学率は、11年には51.0%と過去最高の水準となった。大卒の就職者が多数を占める職場では80年代頃のホワイトカラーとブルーカラーの区別は最早ない。正社員や管理職の数は減り、生涯、非管理職や部下を持てない社員が増えてくる。能力や適性、実績に応じた正社員のグループ分けは一層進む。このような状況下での「選ばれる大学の多様化」は競争の激化を意味し、学歴の評価を新たなものにしていくに違いない。

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