苦い経験だったハーンの初婚

ヘブンは島根県知事の江藤安宗(佐野史郎)の邸宅で行われた快気祝いの席で、江藤の娘のリヨ(北香那)にプロポーズされると、戸惑いながら、以下の自分史を語った。

ギリシャに生まれたヘブンは、幼くして両親と離れてアイルランドの叔母に育てられ、ロンドンなど各地を転々とした末に渡米。オハイオ州で新聞記者になり、黒人にルーツをもつマーサ(ハーンの相手の名はマティ・フォリー)という女性と結婚した。しかし、当時のオハイオ州法は白人と有色人種の結婚を禁じていたため、新聞社をクビになり、結局、マーサと別れた――。

そんな経歴を打ち明けながら、ヘブンは「人と深く関わることはやめたんです。どの国でも、どの町でも、ただの通りすがりの人間として生きていくことにしたのです」と語った。だからリヨのプロポーズも受けられない、という意思表示でもあった。