コメは史上最高のバブル価格

現在、JA農協は、通常であれば玄米60キログラム当たり1万5000円だった農家への概算金を3万円から3万4000円まで引き上げている。昨年他の集荷業者が農家に高い米価を提示したためJA農協の集荷率が落ちたためというが、それにしても異常である。

これにJA農協はマージンを加えて卸売業者に3万7000円で販売している。26%の減産となった平成のコメ騒動の時ですら2万4000円程度だったことからすれば、史上最高のバブル価格である。この価格で仕入れている卸売業者は、スーパー等に安く販売すると赤字になってしまうので、小売価格も下がらない。それどころか、高止まり、微増である。

【図表】コメ価格の推移
図表=筆者作成

増産なのに価格が上がり続けるワケ

他方で、今年産のコメは前年にくらべ63万トン、約1割も増加している。

通常なら生産量が増えて米価が下がるはずなのに、むしろ上昇している。なぜ、こうした事態が生じるのか? それは生産が増えても、JA農協によって供給が制限されているからである。コメ供給の大半を占めるJA農協が市場への供給を少なくすれば、高い米価を維持できる。その結果、JA農協の在庫は増える。逆に言うと、JA農協は在庫量を増やすことによって、市場での供給量を制限しているのだ。

図表1は、JA農協と大手卸売業者の民間在庫(そのほとんどはJA農協)の推移である。今年産米の供給が始まった9月に在庫が増加しているのがわかる。

【図表】各月民間在庫の前年差の推移
図表=筆者作成