「欠けていること」を意識すると、展開が想像できる

私が古文を教えているときに決まって話すのが、「欠如」という概念です。平安時代は、今ほど自由な時代ではありません。不条理なことも多く、好きな人がいても自由に恋愛できないし、一度結ばれても離れ離れになってしまうことが少なくありません。そんな社会の中で、古典作品の登場人物は、心のどこかに「欠如」を持っているのです。

精神的な空白・思い通りにならないことへの憤り・不遇な運命に対する諦観・愛する人がこちらを向いてくれないことへの絶望……満ち足りた状態の登場人物であることはほとんどなく、どうにもならない切なさ、つまりどこかの「欠如」を持っている場合が多いのです。

このことを知っておくと、どんな文章が出てきても、大体こんな展開になるのではないか、と考えながら文章を読むことができます。文章を読むときに、「どんなことが起こるのかな?」と予測しながら読むと、内容がずっと頭に入りやすくなりますよね。この「予測」をしやすくなるのが、「欠如」を知るということであり、読解力を多いに向上させるのです。