オキシトシン神経に信号を送るもの

視床下部・室傍核には「ストレス中枢」があります。

その隣に「オキシトシン神経」があって、それが「ストレス中枢」を抑制し、「癒しの神経回路」を活性化させます。

実は、泣くときに自律神経の切り替えスイッチを入れるのは、その場所だったのです。つまり、起きている状態で交感神経が活発に働いている時間帯であるのに、泣くと一時的に交感神経から「癒しの副交感神経」に切り替わるのは、オキシトシン神経の活性化によるものだったというわけです。実際、オキシトシン神経を動物実験で刺激すると、涙が分泌されます。

そして、そのオキシトシン神経に信号を送るのが、共感脳の激しい興奮なのだということがわかったのです。

脳内のオキシトシンを活性化する因子として、心地よいタッチやおしゃべりが重要であり、それらグルーミング行動がストレス解消になるのですが、オキシトシン神経活性化因子の第三番目が、前頭前野・共感脳の興奮であることが明確になったということです。その証拠に、泣いている最中に副交感神経が活発になるエビデンスもあります。

・泣いているときに、心拍数がどんどん減少するのも、その証拠の一つ

・また、涙腺を激しく刺激する信号自身も、副交感神経の興奮によるもの

・さらに、泣いた後にはお腹が空いたり、眠くなったりする人が多いのですが、それも副交感神経が優位になった結果

メンタルへの影響も検証されています。涙の実験をする前と後で2回、心理テストを実施すると、緊張・不安や心の混乱など、ネガティブな気分が改善しています。「泣いた後にスッキリする」という効果が、心理テストで実証できたのです。結論を述べましょう。

「泣ける動画を見て共感脳が激しく興奮すると、視床下部のオキシトシン神経が活性化されて、交感神経から副交感神経への切り替えが起こり、それが癒しの脳内回路を駆動して、涙を流す状況が生まれる」

すなわち、モヤモヤしたストレス状況が改善されるのです。