「自主性」と「主体性」の違い

「自分で決める」ことには、大きく分けて二つの種類があります。

一つは「何かをやるかどうか」を決めるパターン。もう一つは「何をやるか」を決めるパターン。

この二つには、「自主性」と「主体性」という意味の違いがあります。

「自主性」とは、何かを自分から率先して行動する姿勢のこと。たとえば、「誰かの指示がなくても、やるべきことを見つけて行動する」といったように、「周囲から期待されることを自ら進んでやる」というニュアンスを含みます。

もう一方の「主体性」とは、「自分の意志や判断に基づいて行動する態度」を指し、目的と責任を持って自ら選択・行動する姿勢です。

教室で勉強する男の子
写真=iStock.com/Milatas
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自主的な子どもの不幸

つまり、誰かに用意されたレールから外れないよう自ら進むのが自主性だとしたら、主体性とは「どこに、どんなレールをどこに向けて敷くか」までを自分で考えて決め、進んでいくことなのです。

自主性が悪いわけではありません。親は子どもの幸せを願い、「これが子どものためになる」と思って提案しているのですから、その思いは尊重されるべきです。ただ、それ以上に子どもの幸福度を高められる方法があります。

それは、「子どもが主体的に選び、行動する機会を持つ」こと。つまり、「何をやるか」から自分で決め、親の顔色を伺うことなく、自分の意志で挑戦する経験を積むことです。