三ツ星レストランのドレスコードに変化

そんな中、東京・銀座界隈では近年、老舗靴修理店が、次々と姿を消している。かつては、年商1億円規模を誇り、政財界の顧客を長年支えてきた名店でさえ、例外ではない。閉店理由はどこも共通している。「お客様が革靴を履かなくなった」――。

店主の言葉は、今起きている静かな革命を端的に物語っている。富裕層がスーツを脱ぎ、革靴を脱ぎ、スニーカーに足を通す時代が到来したのだ。

三つ星レストランのドレスコードが緩み始めたのも、この数年のことである。かつて「ジャケット着用必須」だった店が、今では「スマートカジュアル」という曖昧な表現に変わった。実際には、ベルルッティのスニーカーにブリオーニのリラックススーツで訪れる客を、誰も咎めはしない。いや、むしろそれこそが「本物の余裕」の証明になっている。