「全部自分でやったほうがいい」は思い込み

かつて僕の『多動力』(幻冬舎)という本がベストセラーになって多くの人に読んでもらえた。ただそれによって「多動力」という言葉だけが独り歩きしてしまった面もある。とにかく手を拡げることが目的化してしまい、何もかもが中途半端になって燃え尽きてしまった人もいたと聞く。

挑戦する姿勢そのものはすばらしい。でも、自分の体力という重要なリソースを冷静に見積もらないといけない。すべてのタスクを自分でやろうとすれば、体力も気力も雑務ですり減っていく。その結果、もっともエネルギーを必要とするはずのクリエイティブな思考や重要な意思決定の場面で、力を発揮できなくなってしまうのだ。