自分を認めない父・秀忠への反発
皆さんも小学生の頃、お絵描きをしたことがあると思いますが、頭のいい子であれば、絵心がなくてもそれなりにうまく描けるものです。三次元を二次元に描き起こすには特別な才能が必要ですが、誰かが二次元化したものを真似るだけなら、絵は描ける。当時よく描かれた鷹や鶏などの上手な絵を模写すれば、誰でも50点か60点くらいは取れるような作品を作り上げられるのです。
ところが徳川家光の絵には、そうした工夫の跡が一切見られません。家光の絵は完全に独創的で、ある意味オリジナリティにあふれていましたが、裏を返せばそれは「真似ることができない、知的能力に問題がある」ことの証明でもありました。実際、あの絵を見た私は、「家光って馬鹿なんじゃないか」と思わざるを得ませんでした。それほどに彼の絵は衝撃的に下手だったのです。
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