TOEIC基準を廃止「会話力」重視へ
いまや、世界最大の電機メーカーとなったサムスン電子。多くの製品部門で世界シェア1位を誇り、営業利益では、日本の大手電機メーカーのはるか上をいく。
同社の海外売上比率は80%超。マーケットは世界各国に広がる。
「グローバルでビジネスをやるなら英語なんて当たり前、3カ国語ができる人もごろごろいましたね」
そう指摘するのは、日立製作所、日本鋼管(現JFEホールディングス)を経て、1994年から10年間にわたってサムスン電子で常務(設計・開発の技術革新担当)を務め、現在は東京大学ものづくり経営研究センターの特任研究員である吉川良三氏だ。
内部関係者によると、サムスン社員のTOEICの平均点は、文系職種で約900点、技術系で約800点のレベルにあるという。
日本サムスン広報部によると、「日本法人も韓国本社も、英語だけで判断しているわけではない」と言うものの、新入社員に求められる英語力のハードルは高い。2008年まではTOEIC730点が応募の最低基準だったが、10年にはこれを廃止。ビジネスの現場で使える英会話力を重視した基準へと変更した。
現在、入社希望者には、TOEIC speakingテスト(8段階)またはOPIc(Oral Proficiency Interview by computer=全米外国語教育協会が開発した氾言語的に使える会話能力テスト)の成績の提出が義務づけられている。TOEIC speakingは文系職でLV6(TOEIC換算で700点)以上、理系職でLV5(TOEIC換算で620点)以上。OPIcについては、文系職で中級-中(TOEIC換算で700点)、理系職で中級-下(TOEIC換算で620点)以上が条件だ。