「黒川には二度と戻りたくない」

「あの碑文ができて、戦後世代が親世代の犯したことを事実として正式に認め、書き残し、謝罪をした。これはとても大きな出来事だと思います。共同体が初めてきちんと歴史に向き合い、その非を認めたわけですから」

松原監督は、佐藤ハルエさんをはじめとする複数の当事者の女性たちに取材し、碑文除幕式の模様も収めた2本のドキュメンタリー映像を作った。2019年に放送された『報道ステーション』(テレビ朝日)内の特集と、『テレメンタリー』「史実を刻む~語り継ぐ“戦争と性暴力”~」(同)が、映画『黒川の女たち』の原型だ。監督はそこからさらに取材を重ね、足かけ6年にわたって当事者の女性たちの声を聞き続けた。

黒川開拓団幹部の次男で、「乙女の碑」碑文建立に尽力した遺族会会長の藤井宏之さん(1952年生まれ)と交わした会話が忘れがたいと、松原監督は語る。