職場で群れずとも問題解決は可能

<strong>大阪府知事特別顧問 藤原和博</strong>●1955年生まれ。東京大学卒業後、リクルート入社。2003年杉並区立和田中学校校長就任。08年退職後、現職。
大阪府知事特別顧問 藤原和博●1955年生まれ。東京大学卒業後、リクルート入社。2003年杉並区立和田中学校校長就任。08年退職後、現職。

日本は1990年代半ば頃、成長社会から成熟社会へと突入した。成長社会においては「みんな一緒に元気よく」という考え方が支配していたが、成熟社会に入り、「大人しい子が無理矢理元気に振る舞わなくてもいいじゃないか」という時代になった。一人一人が互いをリスペクトしながら生きる社会へとルールが変わったわけだ。そうした社会の中ではそもそも、昔のように職場で群れる必要があるのかは議論の余地がある。職場で群れなくても、問題を解決していける時代になっているからだ。

例えばパソコンや携帯など、ネットで繋がった相手とオフ会などを通し、特定のテーマ性を持ったコミュニティをつくっている人はたくさんいる。同じ興味を持ち、同じ問題解決の道を歩む人たちが集まったコミュニティの中では、他の参加者と仲間としての関係性をつくれるはずだ。同じ会社に属し、同じ空間を共有している人だけが仲間ではない。

私は40歳でリクルートのフェローとなり、会社内個人として独立した。それは、リクルートの利害だけで動くのではなく、リクルート“も”舞台のひとつとして活動している形になるから、競合会社の人とでも接点を持ちやすい。

結果として、リクルートのスタッフだけでなく、社外スタッフやネット上のコミュニティとも結び付き、新規事業を興したりすることが可能となった。自分を会社員ではなく「会社内個人」であると位置づければ、外との繋がりが圧倒的に楽しく豊かになり、従来以上に会社に貢献できることもある。