日本人が学ぶべき、世界が称賛したグローバルリーダー

2019年に亡くなった緒方貞子さんは、日本人初の国連難民高等弁務官として活躍しました。その仕事ぶりは“グローバルリーダー”と呼ぶにふさわしいものでした。それまで日本には幾人かの首相のように国内だけの偉大なリーダーはいたかもしれません。しかし、世界を舞台に難民支援という役割を演じきったのは緒方さんだけです。

ネットイヤーグループ代表取締役社長 CEO 石黒不二代氏
ネットイヤーグループ代表取締役社長 CEO 石黒不二代氏

しかも、60歳を超える年齢で、小さな体を紛争地帯に運び、難民たちの過酷な状況を前に、けっしてひるむ姿勢を見せなかったといいます。彼ら彼女らを「救わなければならない」との使命感、志に裏打ちされた行動は、国際的にも非常に高く評価されました。

緒方さんは外交官一家に生まれ、ミッション系の女子大を卒業し、アメリカに留学。やがて国際基督教大学で教鞭をとりながら国連公使に就いています。そうした家庭環境とキャリアのなかで、もともと持っていた国際人の資質が開花したのでしょう。

私の実家は、愛知県で小さな製函業を営んでいました。高校生のときに工場が倒産したこともあり、「経済活動を通じてたくさんの人を幸せにしたい」と考え経済学部に進学。しかし、大学卒業を控えた当時は女子学生に対する求人はほとんどありませんでした。国内でいくつかの企業に勤めた後、私は海外に活路を見出しました。米スタンフォード大学ビジネススクールに留学し、MBA(経営学修士)を取得したあと、米シリコンバレーでコンサルティング会社を起業したのです。