花粉症の季節がやってきた。どうすれば厄介な症状を軽減できるのか。医師の筒井冨美氏は「2018年に初登場したテープ式の薬は、試す価値があるかもしれない」という。7つのポイントにわけて、花粉症対策の最新常識をお伝えしよう――。
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テープ式「貼る花粉症薬」はどれくらい効くのか

今年も花粉症のシーズンがやってきた。街にはマスクを着用した人も目立つ。

花粉症は、主に季節性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性結膜炎、スギ花粉皮膚炎、気管支ぜんそくなどに分類され、鼻炎(くしゃみ、鼻づまりなど)、結膜炎(かゆみ、充血など)、皮膚炎(かゆみなど)、ぜんそく(咳)といった症状が出る。

今年はまだ発症していない人も「早めに耳鼻科で薬をもらって飲まなきゃ」と臨戦態勢かもしれない。もちろん、そうした旧来の薬もあるが、最近は新しい花粉症治薬・対策が出てきている。

【1:「貼る花粉症薬」登場】

花粉症治療薬には主に抗ヒスタミン薬を投与する内服薬・点眼薬・点鼻薬があるが、2018年に新タイプが登場した。貼る花粉症薬だ。「サロンパス」などのテープ薬に定評のある久光製薬が発売する初のテープ式の抗ヒスタミン薬「アレサガテープ」だ。

商品説明書によれば、貼るのは鼻ではなく、上腕部や胸部、腹部。1日1枚貼ると24時間かけてジワジワと浸透してゆく。一般家庭ならば脱衣所に置いといて、風呂上りに貼り替えるといいかもしれない。「貼る薬」という手軽さもあり、今春はその認知度が高まると思われる。

難点は、新薬ゆえに「1回の受診で処方される日数が14日分以内」という制限があることだ。ただ、「年末年始」「海外渡航(国内旅行は不可)」などの格別の事情があれば最大30日までの長期処方は可能である。そして「2019年のゴールデンウィーク10連休では長期処方可能」という通達が厚生労働省より発令済みゆえ、病院を受診する際には担当医と相談してほしい。発売1年を過ぎた2019年5月以降は、特に問題がなければ長期処方解禁になる見通しである。

少し残念なのは、現在、適用が成人に限られていることである。薬を飲むのが苦手な子供たちでもテープ薬ならOKというケースもあり、今後の適用拡大が望まれる。

【2:病院に行くヒマがなければ「スイッチOTC」】

「スイッチOTC」の花粉症薬をご存じだろうか。これを選べば、病院へ行く時間と費用が省かれるというメリットがある。OTCとはover the counter、「カウンター越しに指導を受けて買う薬」の略であり、市販薬・大衆薬とも呼ばれている。

ポイントは、もともとは医療用医薬品だったという点で、長く問題なく使用されたことで安全性が高いと判断され一般用に切り替えられた(=スイッチした)。それだけに概して効き目がいいと言われる。

この一般用医薬品はリスクに応じて「要指導、第一類、第二類、第三類」に分類されており、第二類・第三類はネット通販による購入も可能である。その第二類に分類されるスイッチOTCの花粉症薬の代表的なものは(商品名・主成分)、アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)、アレジオン(エピナスチン塩酸塩)、エバステル(エバスチン)、ザジテン(ケトチフェン)などだ。

病院を受診する手間ヒマが惜しい社会人ならば、薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者と相談して、こうした薬品を選ぶといいだろう。また、より安価なものを求めるならばアレグラのジェネリック医薬品であるアレルビなど、成分は同じで価格控えめの後発品もある。

これらのスイッチOTC薬は、「セルフメディケーション税制」の対象になり、「一家庭で年間1万2000円を超えた額は税金控除」になるので、領収書は忘れずに保管しておこう。