人生100年時代に老後資金をどう貯めればいいのか。36歳独身のある男性は「退職金は期待できないし、貯金しても低利で全然増えない」と、月収の3分の1を越える10万円超を毎月投資につぎ込むようになった。だがFPの横山光昭さんは「生活費を極端に削る生活はいつか破綻する」と警告する。男性に必要な老後準備の方法とは――。

投資初心者がはまったビギナーズラックの罠

「もっと投資にお金を回したいんです」

※写真はイメージです(写真=iStock.com/timnewman)

都内在住の会社員・家光徹さん(仮名・36歳独身)は、昨年、積み立て方式で投資を始めました。すると想定以上に利益が出て、「今がチャンス、生活費の無駄をなくしてもっと投資にお金を使いたい」と考えているそうです。

想定以上の利益とはどんなものだったのか。投資のスタートは、老後資金に向けてネット証券の口座を開き「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を始めたことでした。ビギナーズラックなのか、当初の運用利回りが8~10%と高く、「元手がすごく増えた気持ちになった」と言います。

生活を切り詰めて「投資、投資、投資……」

また、ちょうどその頃、金融庁が普及に努めていた「つみたてNISA」についても、「国が力を入れているなら間違いない」と思って、こちらも始めたそうです。さらに、勢いに乗ってマネー雑誌などで紹介されているアプリで株式投資(海外ETFを中心にリスク許容度に合わせた商品構成)にも挑戦。トータルで毎月10万円を超える金額を投資で積み立てるようになっていました。

それでも、もっと積立金額を増やしたいのだそうです。

長期的に運用することを視野に入れ、積み立てで投資をすることはよいことです。ゆっくり時間をかけ将来の資産を作り上げるのが理想です。しかし、家光さんのように生活を切り詰めて投資をすることや、せっかちに取り組むのはおすすめできません。