働き盛りの世代が逃げられないのが「実家をどうするか」という問題。面倒だと放置してしまうのは危険だ。早めに手を打つにはどうすればいいか。今回、5つのテーマに応じて、各界のプロにアドバイスをもとめた。第2回は「家計破綻で親子共倒れ」について――。(第2回、全5回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年9月3日号)の掲載記事を再編集したものです。

アルバイトして、子どもに仕送りをする親も

親世代のシニア破綻が注目されて久しい。そして今、心配されているのが、親世代の家計破綻が、30~50代の家計破綻を招く、つまり、“親子リレー破綻”だ。

ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は、シニア破綻の原因をこう分析する。

「総務省の調べによると、年金を主な収入源とする高齢者の月収は年々減少傾向にあります。しかし税金や社会保険料の負担率は増加。そこに、車の買い替えや家のリフォームなど大きな支出が加わり、気がつけば貯金ゼロになっているのです」

大きな支出だけではない。日常の過ごし方にも、破綻リスクがあるという。

「仕事をしていない場合、ありあまる時間を埋めることは意外と難しいんです。ゴルフを頻繁にやっているわけではなくても、習い事をしたり、少し足を延ばして山を散策するなどちょっとしたレクリエーションでも、毎日のようにやっていれば、出費は相当なものになります」(藤川氏)

また、年を重ねるごとに増えていく「医療費・介護リスク」、孫可愛さに教育費やレジャー費を出してしまう「孫リスク」と、数々のリスクが親世代に襲いかかり、気づいたらシニア破綻をしているのだと藤川氏は言う。

▼「親」の家計破綻 5大要因
親子リレー破綻の原因
【余暇】破綻
ありあまる時間を潰すため浪費に走る。旅行や車といったイベント的な支出には、「今まで頑張ったんだし」と財布のヒモも緩みがち。
対処法:ボランティアなど、「役割」を提供する
【子・孫】破綻
子や孫の世代も懐に余裕がない時代。親世代が住宅資金や教育資金を援助しすぎると、自身の老後資金が圧迫される。
対処法:親子で話し合い、現実的な援助の額を探る
【医療費・介護】破綻
医療費も介護費も自己負担額には上限があるが、「差額ベッド代」のように自己負担の医療費も発生し、予想外にお金がかかる。
対処法:親の医療費と介護費が年間いくらか、確認する
【低年金】破綻
元自営業者の場合、毎月受け取る公的年金は約6万円。会社員でも「会社が保険を払っていなかった」ケースもあるので、要注意だ。
対処法:生活保護など公的支援を受けることを視野に
【詐欺】破綻
振り込め詐欺など、文字通り騙し取られるケースもあれば、羽毛布団などの高額商品を勧められるままに購入してしまうケースも。
対処法:親との連絡を密にし、子など第三者に相談しやすい環境を
仮想通貨に関する詐欺は年々増えている。全体の数もさることながら、高齢者を狙ったものが多く、社会問題にもなっている。
※PIO-NETに登録された消費生活相談情報(2017年3月31日分まで)平成29年版消費者白書