重要参考人「妻と家政婦」のミステリアスな経歴

“死ぬまでSEX”を実践していた77歳の金満家が、覚醒剤を“飲まされて”殺された。家にいたのは55歳年下で結婚したばかりの妻と長年通ってきている家政婦の2人だけ。その日の防犯カメラにほかの人間の出入りは写っていない。

あなたなら犯人は誰だと推理するだろうか。

日本中に謎解きブームを巻き起こしている「紀州のドン・ファン怪死事件」だが、重要参考人となっている若妻と60代の家政婦のミステリアスな経歴が、それに拍車をかけているのである。

不動産・金融保険会社を経営する野崎幸助さんの遺体が見つかった自宅(写真=時事通信)

簡単に事件の経緯を紹介しておこう。殺されたのは資産50億円ともいわれる和歌山県田辺市の会社社長・野崎幸助氏。事件が起きたのは5月24日。

夜6時ごろ、夕食を終えた野崎氏は2階の寝室へ上がっていった。妻は8時ごろに2階で音がしたと、後で警察に話しているが、すぐには見に行っていない。

外出していた家政婦が帰り、妻に見に行ってあげなさいと促し、全裸のまま、すでに死後硬直が始まっていた野崎氏の遺体を発見した。

田辺署が野崎氏の遺体を調べると、覚醒剤によるショック死であることが判明する。そこから和歌山県警も捜査に加わり、第一発見者である妻と家政婦の事情聴取が行われた。2人の東京にある自宅の家宅捜索も行われている。

2人とも嘘発見器にかけられたが、何も出なかったようである。

毎月100万円の小遣いをくれる

妻のSさんは、野崎氏と2月に結婚したばかり。一緒に住むようになったのは2カ月にもならない。毎月100万円の小遣いをくれるというのがうれしくて一緒になったそうである。

家政婦は野崎氏との付き合いは古く、月に10日ほど手伝いに通ってきていた。

謎はまだある。野崎氏の死ぬ3週間前に、彼が実娘のようにかわいがっていた愛犬が突然亡くなっているのだ。それも薬物を盛られたかのように悶(もだ)え苦しんでの死であったという。

警察は、犬の死も覚醒剤によるものではないかと、庭に埋められていた遺体を掘り起こして鑑定している。