高齢ドライバーの交通事故が社会問題化している。「高齢者は免許を自主返納すべきだ」という声も出ているが、鉄道網が発達していない地方都市では、高齢者も生活のため車を運転せざるをえない。そんな高齢ドライバー問題を解決する方法として、今年1月からJTBがタクシー会社と提携して福岡市内で始めた「タクシー定額乗り放題」という実証実験が注目されている。これは、70歳以上の高齢者を対象とし、毎月定額を支払えば、登録先(自宅と指定目的地2地点まで)の間を何度でも往復することができるサービスだ。金額は登録する距離によって、月2万8000円から6万4000円。

昨年10月に起きた「宮崎暴走事故」のような悲劇を防げるか。(時事通信フォト=写真)

タクシー業界では「自宅から羽田空港まで」のように「利用1回につき定額」というサービスはあったが、「月定額」はなかった。現在のタクシー認可運賃制度はメーター運賃(走行距離と時間)という考え方をとるため、タクシー会社が月定額のサービスを実現しにくかったのだ。

JTBは昨年夏頃からこの新サービスを検討し始め、月定額のタクシーサービスを「1カ月間の定期券サービスとして、旅行業における募集型企画旅行商品とする」(JTB広報室の岡部久人氏)ことにより実現した。今後は実証実験によって市場規模を確認しながら、サービス提供地域の拡大を目指したいそうだ。

(時事通信フォト=写真)
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