「みんなやる気に溢れていて自分も負けられないと思った」
登場する5人に共通していた発言だ。なぜ、社員がやる気になるのか。その裏には、がむしゃらに働きたいと思わせる企業側の巧みな仕掛けがあった──。

配属初日に営業先リストを渡された

今年3月に東証マザーズへ上場した「みんなのウェディング」。結婚式場の口コミサイトを運営する同社は、もともとDeNAの社内ベンチャーだった企業だ。現在も社長と2人の取締役がDeNAの出身者で、同社の文化が脈々と受け継がれている。

「特に大事にしているのは、『誰が言ったか』よりも『何を言ったか』を大切にする企業文化です」

そう語る社長の飯尾慶介さんは、出版取次大手のトーハンを経て2006年にDeNAに転職。入社した際、その「フラットな社風」に感動したと振り返る。それは会社を経営するうえで、最も大切にしている価値観でもある。

「DeNAでは新規事業などの議論が進んでいくとき、『部長が言ったから』という形で何かが決定されることがまったくないんです。それが新入社員であっても、正しい発言、ミッションを達成するための発言がきちんと評価され、重要視される社風があった。これは私たちのような企業にとって、とても重要なことだと感じています」

IT系ベンチャー企業にとって欠かせないのは、事業に対するスピード感だ。飯尾さんは日頃から「僕の顔色を窺うことは絶対にやめてくれ」と社員に語っている。「誰が言ったか」に気を取られることで、事業の柔軟さや速度が阻害されないようにするためだ。