若手の退職で人間不信に
「『これが退職代行か!』とびっくりしました。昨日まで順調に研修を受けていたと思っていたのに、こんな形で辞めるなんて」
と言うのは、あるメーカーの40代の人事Aさん。
今年5月に新入社員研修が終わってほんの2日後のことだったそうだ。
「今年、約40人がなんとか入社してくれて一安心したんです。採用予定者数を充足させることは私の社内査定にもつながりますから。その後の研修期間にも細心の気を配ってきたつもりなのに……。
それも退職代行に頼んでくるなんて。何がいけなかったのか、理由を知りたいですよ。代行を頼まれては、一切連絡が取れないわけです。これではこちらが人間不信、というか、病んでしまいそうですよ」
新入社員が1カ月あまりで退職代行を利用して去っていった衝撃は大きかったようだ。
昨今、利用者が増えてきたと言われる「退職代行」。マイナビインターネット調査によれば、2024年の20代の退職者の5人に1人が利用しているという。
退職代行という仕事が出現した当初は、「心身が病み、電話もかけられない状態」の人が使うのかと思ったが、今やそうともいえないようだ。
ミドル世代との間にある認知の壁
むろん退職代行を頼むには費用がかかる。約2万円といわれているが、ミドル世代にとっては「電話をかければ済むことなのに、そのために2万円を使うのか?」と余計に理解不能というわけだ。
だが若手からすれば、「2万円ですむなら代行を頼みたい」という事案ということ。これが若手とミドル世代とのすれ違い、認知の壁なのであろう。
職場でパワハラやセクハラがあるのであれば、緊急避難の必要性が生じる。とても言い出せる健康状態ではなくなっているのなら仕方ない。そうであれば、代行業者を使うのもやむなしである。
だが、例の新人はそういうパワハラの緊急避難的な例とは違うように見受けられる。人事担当は優しく思いやりにあふれている気がする。とてもパワハラがあるとは思えない。なのになぜ退職代行を使うのか?

