「前の会社にはもともと経営のプロになりたいと思い入社しました。自分を成長させるため会社から設定される目標よりも常に高い成果を出し、さらに難しい仕事を与えられ続けてきました」(秦氏)

早口で、かつ丁寧に秦氏は振り返る。秦氏は転職前、海外現地法人のトップを務めていた。与えられたミッションは業績が低迷する経営の立て直しだったが、さらにリーマンショックの直撃を受け売上高が6割に激減。現地法人を存続すべきかどうかという窮地に立たされた。

「単に海外拠点をどうするかではなく事業全体の将来ビジョンを検討して『今後、この拠点が重要な役割を果たす』と判断し、異なる文化のなかで構造改革へ懸命に取り組みました。その結果、3年で売り上げが以前と同じ水準に回復し、利益も過去最高益を更新しました」(秦氏)

大きな成果を出した秦氏の転職理由は、海外で修羅場をくぐった後に本社へ戻っても自分の成長はないと考えたからだ。複数のオファーのなかから秦氏が転職先に選んだのは、経営再建に取り組んでいる中堅メーカーだった。

「入社前に工場を見学させてもらい『やれることがいっぱいある!』と思いました。ある意味、非常に期待の持てる会社です。自分の経験を活かしながら経営のスキルも磨きたい」(秦氏)

再建中の会社であるがゆえに、自分の目標である「経営のプロになる」には格好のポジションというわけだ。

ここに挙げた3人の共通点は、まず数字で成果を語れること。 そして将来のビジョンが明確で、それを実現する方向でキャリアの選択をしていることだ。

もう1つ、3人は熱っぽく楽しそうに自分の仕事を語る点でも共通していたが、それは素直に自分のビジョンに向かって仕事に取り組めているからであろう。