日本に“中国版県人会”まである
中国に帰省すれば、空港や駅の民族大移動の大混雑にぶつかってしまうし、親戚にお土産を配らなければならないなど面倒なことが多くて疲れるが、日本にいる中国人の友だちと会っていれば気楽で、そうしたことに巻き込まれないで済む。
中国に住む家族や両親も、中国国内ならば、何としても帰省して親に顔を見せろ、とうるさくいうだろうが、日本にいれば「日本の仕事の都合」や「航空券の高さ」などを理由に帰省できない、と言い訳することができる。
日本は中国から適度に離れている「外国」だが、日本にも中国人コミュニティが成り立っているので、お正月の三が日に店が閉まっていても「つまらない。寂しい」といったこともないのだ。それどころか、日本でいう県人会のようなものが存在し、「黒竜江省〇〇市同郷会」や「北京の〇〇大学同窓会」なども、大型連休中に行われたりするので、逆にふだんよりも彼らは忙しいくらいなのだ。
日本式のマナーを守らない中国人が増える?
だが、ここまで日本に中国人コミュニティが出来上がっていると、日本の社会を知り、日本のルールやマナーを守ろうという意識も希薄になるのではないかという懸念がある。マイノリティーであれば、その影響力も少ないかもしれないが、82万人といえば日本の一都道府県に相当する人口だ。
「赤信号、皆で渡れば怖くない」という言葉もある通り、日本語を理解しない中国人の数が増えることによって、結果として、日本社会でのルールやマナーを守らない中国人が増えていくことも考えられる。
ヨーロッパの小国、オランダでは、永住権を取得したり、長期滞在したりするためには、オランダ語の読み書きやスピーキング、オランダの社会常識について出題される「市民化テスト」というものを受験し、それに合格する必要があるという。
日本も今後、中国人に限らず、海外からの移住者が増えることが予想されるが、日本に住む外国人には、日本語ができなければならないといった決まりや条件はなく、不動産購入も、日本は外国人に制限をかけていない。
いったん、正式な在留資格を得てしまえば、日本語ができなくても日本人と同等の権利や自由が与えられ、日本国籍を取得することも可能だが、それが果たして、日本にとって本当によいことなのだろうか、と考えさせられる。