業種ごとに組織される「国保組合」に加入する

国保料を下げる2つめは、「年収106万円の壁」を超える働き方を続けること。ギリギリ社会保険の加入対象になるような就職先を見つけるのだ。勤め先の企業の従業員規模が常時51人以上で月収8万8000円以上(年収106万円)、継続して2カ月以上の雇用見込み、週20時間以上働いている、学生ではない(夜間の学生は除く)という条件がそろえば、勤め先の社会保険に加入できる。

3つめは、居住地の自治体で加入する国保(市町村国保)ではなく、業種ごとに組織される国保(国保組合)への加入だ。年収106万円を超える働き方をしていても、漫画家や美容師のアシスタント、建設現場の手伝いなど勤め先が「法人」でないなどの理由で社会保険に加入できないケースがある。食品や小売市場、理容、土木建築、税理士など約160の国保組合があるので、自分の業種に該当するところがないか調べてほしい。「一般業種国民健康保険組合へのリンク」(※)が参考になる。

国保組合は所得に影響されない「定額保険料」を設定しているところが多いため、所得が高くなるほど市町村国保より安くなる。私も3年前、市町村国保では年88万円の保険料だったのが、文筆業の国保組合に加入すると44万円にまで下がった。

一般業種国民健康保険組合へのリンク

きちんと申告すれば軽減適用の可能性アリ

ここまでは退職後も仕事を続けるという人に向けて解説したが、そもそも今の会社を退職したらあまり働くつもりはないよ! という人へ。国保料を下げる4つめは、軽減、減免制度の申請だ。国保は国民健康保険法に基づき、低所得者世帯に対して保険料の7割・5割・2割を軽減する制度が設けられている。自治体が前年の所得に基づき計算するので、基本的に個人が申請する必要はないのだが、あくまで自治体側が“所得がわかれば”の話である。杉並区議会議員OBで、社会保障関連の多数の著書をもつ太田哲二氏が解説してくれた。

「所得税の確定申告や住民税の申告、あるいは国保料に関する申告書を提出していればいいのですが、かなり大勢の高齢者がそれを実行していないでしょう。私の推計では100万人はいると思いますね。所得税ゼロだから確定申告しない、住民税の申告もしない。そうなると市区町村は国保料を計算することが不可能になってしまい、応益割(国保料のうち収入などに関係なく一律に課すもの)全額を請求されてしまう。大雑把に応益割はどの市区町村でも年間4万〜8万円あります。きちんと所得を申告すれば7割、5割、2割の軽減適用となるかもしれないのです」

公的年金(国民年金、厚生年金、企業年金、恩給など)収入のみの人は申告は不要。ただし夫婦2人世帯でどちらも国保加入者で、どちらかは年金収入を得ているが、もう1人は年金を得ておらず収入ゼロだった場合など、ゼロの人はゼロと、世帯全員分の所得を申告することが重要なのだ。また災害や失業などで「生活が著しく困難」になった場合も、保険料が減額・減免になるかもしれないので個別の困った状況も、各自治体窓口で相談を。