――どのような再就職先があるのでしょうか。ランクのようなものはあるのでしょうか。

今は伊予銀行の監査役がトップですが、当時の愛媛県警としては、年収約1500万円の松山市役所・公営企業局長が最上級の天下り先でした。2番目が松山市の消防局長で約1200万円。その他、銀行顧問が約800万円、警備保障会社社長で600~700万円ほど、自動車学校長で約500万円ですね。車庫証明係は月収約16万円で、一番下が交番相談員でした。

筆者撮影
松山東警察署

勲章をもらえる資格もない

――相当な差があるのですね。

もちろんです。上司に従順であること、最終ポストで天下り先のランクが決まりますね。

警察OBは国から勲章を授与されることがあるのですが、私には資格がないと言われましたね。厚生課長に書類を持って行ったときのことです。「課長、私は勲章授与の資格はないでしょう」「勲章授与するのは、裏金に関与した人しかもらえんでしょう? 私、裏金に一切協力しとらんし、おまけにそれを暴いてみんなから嫌われとんじゃ、勲章の資格ないでしょう?」って言うたら、また震えながら、「そうですね」と言ってましたね。

この課長、本当は辛い気持ちでおるんだろうということは分かっとるわけですよ。それで、「あなたには迷惑でしょうから、僕は希望しません」と言って、書類の「勲章を希望しない」に丸つけて出したんです。課長は「ありがとうございました」と言ってました。

――2004年、北海道警OBが同様の告発をして警察の裏金問題が再び注目を集めました。裏金は今も続いているのでしょうか。

減っているとは思いますが、今も当然、あります。たとえば、生安部員なら生安部員だけ、刑事課なら刑事課員だけ、警備公安は警備公安課員だけに領収書を書かせています。

私服警察官に捜査諸雑費として毎月3000円を支給するようになりましたが、それまでの違法な捜査協力費のネコババを隠すためのまやかしみたいなものですね。それすら後でしっかり回収している警察署もあります。

写真=仙波さん提供
仙波氏近影

なぜ警察の不祥事はなくならないのか

――最近、警察官が逮捕されたという報道が相次いでいます。なぜ不祥事はなくならないのでしょうか。

もう、それはたった一言、上(幹部)が腐っているからです。

警察の犯罪は実際にはもっと起こっていますが、もみ消されているものが山ほどあります。実際に女性警察官が飲み会の席で同僚警察官にレイプされた件では、本人から相談を受けたこともありました。

そこで、主席監察官室において、直接主席監察官に申告しましたがもみ消され、結局、被害女性が退職に追い込まれました。職場不倫の場合も、最終的には女性側が左遷される。そういう男社会です。組織の理論が優先されるわけです。