妻の手伝いがなければ何一つできない

ただ、芸能人同士で結婚したカップルに聞くと、「1つの家に主役は2人要らない」のだという。だから、ライフスタイルが異なっているほうが案外うまくいくのかもしれない。

実際、ライフスタイルの違いを乗り越える知恵はずいぶん進んだ。

たとえば、夕食の際には小さなお鍋を2つ用意して、妻は野菜鍋、私はすき焼きを食べている。寝る部屋は、妻と私で完全に分けた。テレビも私が見るテレビをリビング用とは別に購入した。

そうした違いがあっても、妻は献身的に私を支え続けてくれている。何しろ、いまの私は要介護3の状態だ。

着替えをするのも長い時間をかければ可能だが、そんな時間はないのでほぼすべて妻が着替えさせてくれている。

どこに行くのも、妻の運転するクルマでの移動だ。朝起きてから寝るまで、妻の手伝いがなかったら、何一つできないのが現状だ。

子どもは親の背中を見て育つ

そして、子どもたちとの関係も大きく変化した。東京の病院への入退院の際にクルマで送迎してくれたのは次男だったし、長男も次男も心配して、ちょくちょくわが家を訪ねてくるようになった。

そして、もっとも大きな変化は仕事だ。

森永卓郎『がん闘病日記』(三五館シンシャ)

康平は私の突然の病欠を穴埋めするためにテレビやラジオ、講演などを引き継いでくれた。そのときの活躍が評価されて、現状、メディアへの露出は、私よりも1ケタ多くなっている。私の経済関係の仕事はもう康平にまかせてよさそうだ。

IT技術者をしている次男は、私のオタク心を理解してくれている。だからB宝館は、次男にまかせれば、大丈夫だと考えている。すでに得意の技術を生かして、B宝館のホームページの大改革を進めており、2024年5月からは開館日の店頭にも立つ予定だ。

私は、子育てにはほとんど関与していないが、子育てはうまくいったと思っている。

もちろん妻の貢献は大きいのだが、もうひとつ、子どもは親の背中を見て育つものなのだ。

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