なぜ日本赤十字社へ就職されることになったのか

では、愛子内親王はなぜ日本赤十字社へ就職することになったのだろうか。いくつかの理由が考えられる。

第一に、公務との関係ではないかと思われる。これまで、学習院大学に在学中、愛子内親王は単独での公務はしてこなかった。その理由として、「大学の勉学に集中する」ということが言われてきた。もし、大学院に進学するとなれば、やはり「大学院での研究に集中する」ということを言わなければ、これまでと整合性がとれなくなる。つまり、あと数年は単独での公務は難しくなるのである。ましてや、海外留学をすれば、国内での公務はできない。つまり、就職は、愛子内親王単独もしくは天皇や皇后とともに公務を担うという意識からなのではないだろうか。

公務が重要視される理由

たしかに、前述の清子内親王も、山階鳥類研究所で働きながら、それ以外の日には盲導犬関係の福祉に関するもの、海外への訪問などの公務を単独で積極的に行っていた。就職することで、公務ができるという側面があるのだ。

なぜそこまで公務が重要視されるのか。それは、公務を担える皇族数の減少という現実問題に現在の皇室は直面しているからである。結婚した女性皇族が皇室から離れる現在の制度では、今後も佳子内親王などがその対象となる可能性がある。「女性宮家」問題がまったく進まず、しかも増えている公務を誰が担うのか。天皇の長女である愛子内親王は、他の皇族以上に天皇の代理としての意味も持つため、公務を自身が担わなければならないと考えたのではないだろうか。