「宇都宮の人って300m先のコンビニにもクルマで行くような地域市民性」
杉山 清原地区市民センター前停留場がきれいですね。バス停留場が隣接していて、駐車場も広くて。それでも足りないと報じられていました。有料化も視野に入れるべきだとか。でも有料化しちゃうとほかの停留場の無料駐車場に移るだけですね。クルマですから。
宮崎 宇都宮の人って300m先のコンビニにもクルマで行くような地域市民性です。それがクルマを降りて公共交通にっていう意識付けができた。これがすごく大きな行動変容かなと。小中学生にもtotra(交通系ICカード)を配布しました。公共交通に対する考え方を理解していただきたいと思いました。
杉山 設備で言うと、電車の追い越しができそうな停留場がありますね。
宮崎 春のダイヤ改正で快速運転を検討しています。当初から平石停留場とグリーンスタジアム前停留場は、2面4線(プラットホーム2面線路4本)にしていて、緩急接続できるようにしています。
杉山 いまでも各駅停車でスイスイ走っている印象ですけど、快速運転は必要ですか?
宮崎 朝の時間帯ですと始発駅から満員状態になってしまって、途中の駅から乗れない、あるいは乗り降りに時間がかかるという傾向が見えてきました。この時間帯に乗る方は目的地がはっきりしてるので、需要が多いところまで最短所要時間で走らせようと。
杉山 通勤時間を短縮しようという目的なんですね。会社の送迎バスよりライトラインの方がいいという感じにしたいと。座れない人は早く着きたいでしょうし。
宮崎 いま48分で走ってますけど、所要時間も徐々に、県警さんと信号サイクルの調整もやっていて、段々短くしていこうと。
杉山 快速運転の目標所要時間は決まっていますか。
宮崎 目標として37~38分というところで考えていますが、どの停留場に停車させるかは検討中です。
杉山 かつて相模鉄道が実施していた、二俣川~横浜間ノンストップみたいな思い切りの良さがあるとカッコいいなと思います。ライトラインだと平石~宇都宮東口間ノンストップ、みたいな。
宮崎 市民の皆さんもどこに停めるんだろうと話題になっているようです。民営鉄道と違って税金を投入して作った路線なので、慎重に需要予測をキッチリやって決めたいと。
8分~12分間隔を将来的にはピーク時6分に
杉山 富山ライトレールも参考になったというお話がありました。こんどは宇都宮市がお手本になる番ですね。
宮崎 毎日のように他の自治体の視察があります。それぞれの自治体さんで熱量は違うと思いますが、新しい交通なので、まちづくりの効果はどうなんだという観点でいらした方が多いのかなと。やはりお金がかかることなので、ある程度の経済規模とか、市民合意とか、ちゃんと取れる都市でないと厳しいと思います。こういう都市にしたいからLRTが必要なんだと行政側でコントロールしないと。
杉山 単純に「幹線道路の交通渋滞を解消したいからLRT」というのは違うと。
宮崎 まちづくりの装置として、市役所側の立場とすれば上下分離してるんですけど、レールも車両も全部、道路とか橋とかと同列のインフラという整備で投資しています。それがまちづくりにどういう影響を与えるかというところまで踏み込んでいかないと。
杉山 たしかに、富山ライトレールを参考にして、LRVを導入しましたという自治体も、交通形態を変化させるまでには至っていない路線を見かけます。富山ライトレールの意義って、車両を新しくするだけではなく、きっちり15分間隔で来るというところですね。ダイヤが路線の意味を補完していると言いますか。
宮崎 当社もいまは運賃収受に時間がかかるということで、8分~12分間隔ですが、将来的にはピーク時6分、ピーク以外で10分間隔にしていきたい。
杉山 営業面では、通勤以外の客を受け入れるための施策に力を入れていらっしゃると。
宮崎 パンフレットで沿線の紹介をするほか、1日乗車券も始めまして、東側の需要喚起策もやらせていただいて。
杉山 1日乗車券はどのくらい売れていますか。