共感からスタートし、相手のテンションを上げる

2つ目の理由は、「よろしくお願いします」と言われると、何かを依頼されている感覚をおぼえるからです。

「何を“お願いします”なのか」困惑してしまうメンバーが多数いました。

また、個別ヒアリングでは次のような発言もありました。

「報告やプレゼンを依頼されているように受け止めてしまう」
「先週、週報を出したのに、また新たに報告をしないといけないのか」
「何か取り組みをプレゼンすることを求められているのか」
「ちょっと緊張してしまう。何を報告すればいいんだろう」

このように、戸惑っていました。

つまり、「よろしくお願いします」は、報告やプレゼンなど、何らかの行動を依頼されているかのように受け止められてしまうのです。

では、どういうスタートが良いのでしょうか。

43社で行った行動実験で効果があったのは、「感謝・ねぎらい」で始めることでした。

「よろしくお願いします」ではなくて、「今日は忙しいのに時間を取ってくれてありがとう」という「ありがとう」で始めるのです。

「先週金曜日にトラブル対応してくれてありがとう」「後輩の指導をしてくれてありがとう」という感謝やねぎらいから始めるのです。

写真=iStock.com/metamorworks
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「こういうふうに私を見てくれているんだ」「私に興味関心を持ってくれているんだな」「本当にありがたいな」といった声が上がり、共感からスタートすることができました。

感謝・ねぎらいで1on1をスタートすると、事後アンケートでメンバーたちの満足度が30%以上アップすることが分かりました。

また、メンバーのテンションが高まってから1on1をスタートすると、メンバーは自分から発言するようになるということも行動実験で分かりました。

こうした伝え方1つで相手のテンションを上げたり、活力を与えたりすることができるのです。