早稲田大学で「恋愛学入門」講座を受け持つ国際教養学部の森川友義教授は、アンケート結果を以下のように分析する。

「男女の違いがくっきりと出ていますね。男性は女性の学歴をそれほど強くは気にしない。しかし、女性は高学歴であるほど相手の学歴を求める。さらに、高い偏差値の大学を出るほど相手の男性の出身大学の偏差値を気にしています」

図を拡大
図3

夫婦の学歴が「均衡する」ことは公的なデータで明らかになっている(図3)。大卒既婚女性の9割近くが大卒の男性と結婚しているのである。

「理由は3つ考えられます。1つは出会いが限られること。例えば、高卒男性が大卒女性と出会う場所は意外と少ない。仮に出会ったとしても、教養のレベルが異なるため会話内容が合わない。また、男性は相手の学歴が高いと負い目を感じ、女性の目にはそんな男性は自信がないように映ってしまいます」

図を拡大
図4

森川さんは「学歴均衡説」からさらに踏み込んで、「大学偏差値均衡仮説」を立てる。早稲田大学で「恋愛学入門」を受講する女子学生を対象に、結婚相手に望む学歴を訊いたところ、「早慶上智以上」が4割近くに達した(図4)。高学歴女性は、結婚相手の大学偏差値すなわち「学校歴」にも注目しているのだ。

しかし、現実にそのような相手と結婚できるとは限らないと森川さんは言う。

「高学歴男性の人口は限られ、女性同士の競争が激しいのが理由の一つ。もう一つは女子学生の肉食化と男子学生の草食化によって双方がかみ合わないという現実が挙げられます」

早稲田大学の学生へのアンケート結果によると、女子学生は自分の性格も相手に望む性格も「やや肉食」を選んだ人が多く、男子学生は自分は「やや草食」で、相手に望む性格は「やや草食」と「中間」と「やや肉食」が拮抗。ワセ女とワセ男はかみ合わないことが判明した。

もう一つ、森川さんが学生に対して実施したアンケート調査がある(図5・6)。

図を拡大
図5/図6

「年収が100万円のイチローと、弁護士で年収が2000万円の江頭2:50なら、どちらの男と結婚したいか」との質問に、女性の65%が江頭(つまり、見かけより経済力)と答えている。一方、「浮気ばかりするAKB48と、浮気は絶対にしない森三中なら、どちらと結婚したいか」の質問に、8割の男性がAKB(つまり見かけ第一)と答えたのだ。

「総合すると、男性の年収と女性の見かけは均衡しているようです。しかし、高学歴女性の見かけは、特別魅力的というわけではありません。大学入試に美しさという項目はありませんから。早稲田のような高偏差値の大学を出て総合職として働く女性は、自分より高い学歴、高い収入、高い身長の相手をと願っても恋愛が成就することは少ない。だから私は女性の3高は恋愛の場面では3低として機能すると言ってきました」

では、彼女たちはどうすればよいのか。

「結婚市場における自分の資産価値をじっくり考えて、相手の社会的条件にはなるべく妥協するべきでしょう。相手の資産価値に均衡するほど自分が魅力的なのか自己分析せよ、ということです」

みもふたもないが現実的なアドバイスである。