若年期の検診で自分の不妊確率を知り、手を打つ時代へ

この進化形で、スタンフォード大学から2015年4月には、卵子ではなく母親の遺伝子診断で、流産確率が高いかどうか、がわかるという研究まで発表されています。こちらは、PLK4という遺伝子が存在すると、流産確率が著しく高くなる、というものです。ただ、PLK4を持つ母親は全てが流産するわけではなく、この遺伝子を受け継がない卵子は正常に出産できるといいます。ということは、自己希望の検診で母体にPLK4遺伝子が見つかった場合、卵子診断を実施し、PLK4を受け継がないものを受精させる、という方法で、流産は相当減らすことができるでしょう。

同様に、男性の不妊の主因となっている精子形成障害についても、その原因となる遺伝子が同定されるようになってきました。その代表がY染色体に存在するAZF(Azoospermia factor)遺伝子です。こちらも廉価な検査法の確立が望まれます。

こうして、男女ともに若年期に(自己希望による)検診にて自分の不妊確率を知り、早期に手を打つことができるようになっていくでしょう。

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卵原幹細胞の存在

障害の問題も、医療の発展で、予防や治療ができる可能性があります。生命科学の領域では、遺伝子の持つ機能のスイッチをオフにする研究が進められています。障害が発現しないようにすることも、近い将来、可能性が高くなるでしょう。

最後に、究極の話をしておきます。まったくフレッシュな卵子を作ることも可能になりつつあるのです。卵巣の中には、原始卵胞になる前の「卵原細胞」といわれるものが存在すると言われてきました。その卵原幹細胞がどうやら見つかりつつあるのです。こちらもハーバード大などから情報が寄せられています。ちなみに、幹細胞は、失われた細胞を再び生み出して補充する能力を持った細胞です。もし、この手法が確立されると、それこそ、全くのフレッシュな卵子が何歳でも作れることになっていく――。