2040年には自動車業界地図が塗り替わる

このようにして、かつてEV先進国であった日本は、EV戦争の第一線から後退してしまっているだけでなく、すでに周回遅れ状態となってしまっています。特にEVの販売台数を決定づけるバッテリーの生産体制は、現状の計画が世界と比較しても控えめです。日本国内のメディアに絶賛されたトヨタのバッテリー調達も含めたEV戦略は、世界と比較してみると特に目立った戦略ではないことがおわかりいただけたと思います。

高橋優『EVショック ガラパゴス化する自動車王国ニッポン』(小学館新書)

このトヨタに関して、一部の投資会社が驚きの予測を示しています。アメリカの投資銀行であるパイパー・サンドラー社が見立てた2040年時点における自動車メーカーの販売シェア予測によると、2040年にフォルクスワーゲンは、全体のシェアで最多の11%を獲得。台数ベースではおよそ920万台ということで、現時点と比較してもあまり変化しない見込みですが、注意していただきたいのが2035年以降、主要先進諸国では新車はEVしか売ってはいけない時代に突入し始めているという点です。

テスラは2022年時点で140万台程度の販売台数ですが、2040年時点での予測値が800万台以上となり、フォルクスワーゲンに次ぐ世界第2位の自動車メーカーになると予測されているのです。

トヨタの販売台数は半分以下の400万台にまで落ち込む

その一方で、現在1000万台の販売台数を誇るトヨタの販売台数は、なんと半分以下の400万台にまで落ち込むと予測されています。フォルクスワーゲンとトヨタが1000万台というレンジで競っている現在の状況から約20年後、フォルクスワーゲンはなんとか920万台を維持する一方、トヨタは半分以下にまで落ち込み、トヨタに代わってテスラが820万台にまで販売台数を伸ばし、世界のトップメーカーに成り代わるという驚くべき逆転の構図です。

周回遅れのEVシフトによって、将来的に日本の自動車産業が大打撃を被る未来が予測されているという事実は、多くの日本人が知っておくべきなのではないでしょうか。

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