「ダメ出し」ではなく「ヨイ出し」がいい

第2位は、大人気シリーズの『サクッとわかる ビジネス教養 アドラー心理学』。『嫌われる勇気』などで知られる「アドラー心理学」がテーマです。

岩井俊憲『サクッとわかる ビジネス教養 アドラー心理学』(新星出版社)

アドラー心理学では、他者の行動から自分が影響を受けると同時に、自分の行動も相手に影響を与えると考えます。つまり人間関係の悩みは、自分の行動を変えることで解決できるのです。

人間関係を築く要素として覚えておきたいのは「共感」「信頼」「尊敬」「協力」の4つです。

相手との距離を縮める「共感」。共感するために不可欠な、相手への「信頼」。相手を信頼することで生まれる「尊敬」。そして、目的を共有して課題解決に取り組む「協力」です。新たな人間関係を築きたいときや、既存の人間関係をより強固なものにしたいとき、この4つを意識してみましょう。

その他、アドラー心理学でいう「勇気づけ」についての解説もあります。勇気づけとは、良い・悪いという評価的な態度をベースとする「ほめる」こととは異なり、相互を尊敬・信頼し合う平等な関係性に基づいた共感的な態度が必須です。仲間とのつながりや絆の感覚である「共同体感覚」をお互いに持っていると、勇気づけが生まれやすくなります。

勇気づけの方法はいくつかありますが、そのひとつめは相手の良かった点を伝える「ヨイ出し」。ダメ出しをされると人は行動をためらうようになる。ヨイ出しをすれば、相手の自主的な行動を促すことができます。

本書には、その他、悩みごとへの対処法、自分の性格を変える方法など、日常的に使える考え方が盛りだくさん。アドラー心理学の世界を「サクッと」のぞいてみませんか。

多様化する働き方の中で基本のビジネスマナーは武器に

第3位には、ベストセラーの「今さら聞けない」シリーズから『今さら聞けない仕事の超基本』がランクインしました。

石川和男監修、宮本ゆみ子著『今さら聞けない仕事の超基本』(朝日新聞出版)

社会人になりたての方はもちろん、中堅やベテランにも特にチェックしてほしいのは、ビジネスマナーの重要性について書かれた箇所です。

働き方が多様化する現代において、ビジネスマナーは意思疎通を助けてくれます。たとえ相手と価値観が異なっていたとしても、ビジネスマナーというルールを共有していることで、互いに気持ちよくやり取りできるのです。また、効率よく、安全に業務を遂行するためにも欠かせません。

時間管理の大切さについて書かれた箇所も、あらためてチェックしましょう。期日が守れなければ、チーム全体の仕事が遅れてしまうだけでなく、お客様の信頼を裏切る事態に発展するリスクも。

タスクを管理するコツとして覚えておきたいのは「ゴール設定」「タスク整理」「優先順位の決定」の3つを意識すること。最終的な目標を設定したうえで、やるべきことをはっきりさせ、どのタスクから取りかかるべきかを見極めるのです。

社会人としての言葉づかい、電話・メール・文書作成、仕事の効率化、人間関係の作り方……“仕事の超基本”がわかりやすく解説された本書。より気持ちよく、より効率的に働くために、ぜひ一読をおすすめします。