感染者と濃厚接触者の自主隔離の日数

――最近は保健所からの連絡がないと聞きます。体調に変化があったときはどうしたらいいでしょうか。

感染者数が増えているので、手が回らなくなっている保健所もあります。東京都の場合、保健所からの電話はなく、スマートフォンにショートメッセージが届くだけです。ですから、あまりにも体調が悪い場合は、保護者の方から保健所や発熱センター、診断をしたクリニックに電話して相談しましょう。前にも述べたように、体調が急変して意識を失ったり、痙攣したりした場合は救急車を呼んでください。

――子供が新型コロナウイルス感染症になった場合、本人も家族も外出できないのでしょうか?

お子さんは、発症日を0ゼロ日目として10日間、外出できません。そのご家族は、お子さんをきちんと隔離できる場合でも、防護対策をしてから5日間は外出しないようにしましょう。お子さんを隔離できない場合は、お子さんの隔離期間の10日目を0日として5日間なので、16日間が自主隔離期間です。9月1日にお子さんが発症したなら、お子さんは9月12日から、その他の同居家族は17日から外出可能ということになります。結構、長いですよね。

最近、東京都では濃厚接触者は、最終接触日を0日として2日目と3日目に抗原定性検査キットで陰性となれば解除可能となりました(※1)。しかし、これには医学的根拠がありません。新型コロナに感染すると平均2.9日はウイルスが多く出て、たいてい10日以内に出なくなるとされていますが、潜伏期間も考えると3日では短すぎると思います。

※1 東京都福祉保健局「身近な人が新型コロナウイルス感染症になった方へ~自分が濃厚接触者だと思ったら~

画像提供=森戸やすみ
新型コロナに感染した子供の保護者に「濃厚接触者の隔離期間」を伝えると驚かれることが多いという。

家庭内感染を止めるのは難しい

――きちんと隔離するというのは、どういうことでしょうか?

まず、感染者であるお子さんは一つの部屋に入り、トイレとお風呂の時以外は出ないようにします。またトイレは感染者が使用するたびに、アルコール消毒しましょう。お風呂もアルコール消毒するか、界面活性剤の洗剤で洗い流します。詳しくは、日本環境感染学会がとりまとめた「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項」を参考にしてください(※2)。とても大変なことですが、これくらいしないと家族は感染してしまいます。

※2 厚生労働省「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)

――なるほど。家族そろって自主療養するほうが周囲に感染を広げなさそうです。

そうですね。小さな子は、なかなかきちんと隔離できないと思います。知人のところのお子さんは小学生ですが、体がしんどい時に一人になって寂しくて心細くて泣いてしまったそうです。それに隔離期間を短くするよりも、できることなら家族そろって自主療養したほうが流行期を短くできるかもしれません。買い物などは、できるだけネットスーパーやドラッグストアなどの置き配、ウーバーイーツや出前館、宅食などの置き配を利用するといいでしょう。親戚や友人に置き配をお願いするのもいいと思います。