新型コロナウイルスのオミクロン株亜系統BA.5には、多くの子供が感染している。実際に子供がかかったらどうすべきか、発熱外来がいっぱいだったらどうするか、どんな備えが必要か、小児科医の森戸やすみさんに聞いた――。(聞き手・構成=大西まお)
コロナウイルスのPCR検査
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小児科の発熱外来を予約することが大事

――子供が新型コロナに感染したかもしれないと思ったら、どうすべきでしょうか?

医療機関を受診しましょう。この時に大事なのが「小児科」の「発熱外来」に「予約して」受診し、PCR検査または抗原検査と診察を受けることです。発熱している場合は、誰かに感染する恐れがあるので、無料の検査場は利用できません。また検査だけを行っている医療機関や内科では、子供向けの薬を処方してもらえないことがあります。その後、検査も診察もなしで小児科で薬を出してもらうことは通常はできないため注意してください。

――近隣の発熱外来が混み合っていて、すぐに診てもらえない場合はどうしたらいいですか?

その場合は、自宅で様子をみましょう。保健所または発熱センターなどに電話するのも一つの方法ですが、つながらないこともあると思います。お子さんがつらそうな場合は、ドラッグストアなどでアセトアミノフェンの解熱剤を買って、飲ませてあげてください。カロナールが品薄だと報道されましたが、カロナールはアセトアミノフェンの商品名ですので、他の商品でも大丈夫です。小児科クリニックは、当日朝に予約を取るところが多いので、次の朝インターネットや電話で予約しましょう。ただ、意識がない、痙攣けいれんするなどの重篤な症状があったら、すぐに救急車を呼んでください。

予約時間を守って感染対策を万全に

――受診時に気を付けるべきことはあるでしょうか?

予約時間は、必ず守るようにしてください。患者さん同士が互いに感染症をうつさないために、一般診療と発熱外来を分けています。また発熱外来に来られる患者さんの来院時間も間隔をあけて設定しています。早く到着しても、遅く到着しても、他の人と会ってしまうのでよくありません。また今は混雑しているため、別室や屋外でお待ちいただくこともありますのでご了承ください。医療者も患者さんをお待たせしたくはないのですが、大勢が受診するとどうしようもないのです。

――院内では、どんなことに気を付けるべきでしょうか?

医療機関はリスクの高いところです。2歳以上の方は、必ずマスクをしてください。たまに待合室や診察室で、お子さんにジュースやおやつをあげる方がいますが、誤嚥ごえんの原因になるだけでなく、感染が広がる恐れもあるのでやめましょう。麦茶やジュースなどを飲ませる際は、いったん屋外に出てくださいね。

また床などは、毎日清掃していても、いつウイルスが落ちるかわからず清潔ではありませんから、お子さんをハイハイさせたり、荷物を置いたりはしないようにしましょう。

森戸さんのクリニックに貼られている注意事項
撮影=大西まお
森戸さんのクリニックに貼られている注意事項。感染を広めないために大事なことだ。

――どのような薬が出されるのでしょうか?

治療薬の選択肢は多くありません。抗ウイルス薬が適応になるのは持病のある人だけ。子供の場合は、熱や痛みがあると「解熱剤(アセトアミノフェン)」、お腹の調子が悪いと「整腸剤」、鼻水がひどい場合は「抗ヒスタミン薬」、痰がからむ場合は「去痰薬」などを出されることが多いでしょう。風邪の場合と同じく、症状のみを抑える対症療法になります。当院の場合、薬の処方箋は薬局にファクス等で送り、屋外などで受け取ってもらう流れになります。新型コロナ陽性の場合、さまざまな人のいる薬局には立ち入らず、受診時にどのように受け取ればいいか確認してください。