「8050問題」を超え「9060問題」の相談者が直面していること

ひきこもりの子がいる家庭の生活設計相談を受けている中で、「親が介護になった場合はどうするのか」を具体的に考えている人にお会いした経験がない。いっぽうで「8050問題」を超え、「9060問題」の相談者と向き合っていると、介護のことを具体的に考えるのは急務だと感じる。親は適切な介護を受けられず、子どもはお金がなくて、困り果てる未来が簡単に想像できてしまうからだ。

ひきこもりの子は、ヘルパーが家に来るのを嫌がるケースが多い。私の相談者の中にも、子どもがヘルパーを追い返したり、家の鍵を替えて、家に上がれなくしたりしたケースもある。親は適切な介護サービスを受けられず「介護放置」になっているのではないかと心配している。

「ひきこもりと介護」には親和性がないように感じるかもしれないが、8050問題のその先に、確実に潜んでいる問題なのだ。

関連記事
84歳までに行き詰まる…「60歳で資産5000万円」でもまったく安心できないといえる老後の現実
どの会社でもうまくいかない…ひきこもりになった発達障害の24歳女性が、仕事探しを再開できたワケ
狭小ワンルームに高齢者が大量居住する時代に…これから急増する「相続難民」のさみしい老後
「孤独死は理想の死に方」数えきれないほど患者を看取ってきた92歳の精神科医がそう断言する深い理由
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと