バブル時代に買ったダイヤモンドが二束三文でしか売れないわけ

日本では、ダイヤモンドは「消費物」でした。

川端敬子著・鹿子木健監修『資産防衛のための ダイヤモンド投資』(PHP研究所)

日本で最もダイヤモンドが消費されていたのは、バブル全盛期(1980年代後半~1990年代前半)です。主な購入層としては、団塊の世代から1960年代生まれまでが目立っていました。なぜそれがわかるかというと、売却のために持ち込まれるジュエリーの量が、他の世代とは比較にならないほど多く、購入時期もバブル期のものが多数を占めるからです。

バブル時代に購入されていたダイヤモンドは、高級品ではありましたが、上級品ではありませんでした。資産価値としては大いに疑問のある、単に豪華できらびやかな、所有欲を満足させるような代物が多く出回っていました。

私も、バブル時代に購入されたダイヤモンドの買取をよく依頼されるのですが、残念ながら、購入価格の数分の1程度、もしくは10分の1以下の価格提示しかできない場合も少なくありません。上級品ではなく、派手で高そうに見える高級品は、資産価値がないというのが理由です。ランクが下のダイヤモンドを、高い値段で買わされていたということです。

全世界共通の「相場」がある

デザインが好みだったり、知名度の高い店で買ったものだったり、また、有名なブランドのものなど、本人が満足している消費であれば問題ないのですが、投資となると話は別です。投資では資産価値があるかないかですべてが決まります。ダイヤモンドは消費物にもなり得るし、投資対象にもなり得るということです。

宝石や貴金属の中でも価値がはっきりと見えるものが、金、プラチナ、ダイヤモンドでしょう。金やプラチナは価値がはっきりとわかるというのは、すぐに理解できると思います。金価格は変動相場ではありますが、マーケットが全世界共通であり、外国為替相場の変動によって国によりいくらか価格が違うことはあっても、大きな乖離かいりがあるわけではない、というのは周知の事実です。プラチナも金と同様です。

そして、相場が全世界共通なのは、ダイヤモンドの世界にも当てはまります。日本ではあまり知られていませんが、ダイヤモンドにも全世界共通の相場があり、そこではダイヤモンドに一定の価値をはっきりと見出すことが可能です。購入先、売却先も世界中にあり、おそらく一般的な日本人が想像している以上に市場の門戸が広いです。