年金暮らしの両親では「保証人として不十分」
会社員として既に10年以上勤務しており、ある程度の年収もあった。それでも断られた理由を聞くと、「40歳を超えて独身ひとり暮らしの女性であることと、年金暮らしで遠く離れた場所に住む親御さんでは保証人として不十分だから」と告げられた。そして次々と3件もの賃貸物件の所有者に入居を断られた。
「このままもっと年を取ると、さらに部屋を借りるのが難しくなるかもしれない。年金暮らしの親しかいない中年独身の私は、東京で暮らしていけなくなるのではないか」。急に不安になり、分譲の中古マンションを慌てて探し、ローンを組んだ。
同世代の独身の友人たちはどうやって住む場所を確保しているのだろうと思い、聞いてみると、「そういえばきょうだいを保証人にしているなあ」という人が多かった。そうだったのか。身元を保証してくれる兄弟姉妹がいないのは、結構不便そうだと感じた。
ひとりで老いて死ぬことに集まる批判
友人たちに緊急連絡先がなくて困ったと話すと、「互いに緊急連絡先として電話番号を登録しておこう」ということになった。当面の急場はこれでしのげるかもしれないが、私がもっと年を取り、認知能力が落ちて意思決定が難しくなったらどうすればいいのだろうか。早いか遅いかはわからないけれど、いずれ必ず私も死んでしまう。そのときの実家は。ローンの残ったマンションは。一緒に住んでいる猫たちは。
私は自分がひとりきりで老いて死ぬことについて何も考えていなかった。
数年前にとあるインタビューを受け、その記事がYahoo!ニュースに転載されたことがあった。50代独身で、猫と暮らして十分満たされており、今後パートナーも特に必要とは思っていないという私の発言が書いてあるその記事のコメント欄には、「それは結構だけれど、孤独死して周囲の人に迷惑をかけないでくれ」「将来介護保険を使いまくって若い世代に負担をかける気か」という内容がずらりと並んだ。