チャンスはお金持ちの人にだけやってくる

最近は、ふつうの人に「夢の配当金生活」を勧める人もいるそうです。投資信託の配当金などだけで、働かなくてもお金が入ってくるような生活ですね。

ひろゆき『誰も教えてくれない 日本の不都合な現実』(きずな出版)

でも、投資信託だけで生活できるような人など、ほとんどいない現実は知っておいたほうがいいんじゃないでしょうか。

だいたい、お金持ちの人が儲ける方法は、ふつうの人と同じではありません。たとえば年収5億円ぐらいになると、証券会社から連絡が来て、一般には買うことのできない株を紹介されたりします。

僕も証券会社にかなりの額をつぎこんだ時期がありましたが、そのときには5000万円の株を4900万円で買える仕組債しくみさい(投資者たちのニーズに沿った特別のオプションなどを持つ金融商品)を買ったことがあります。これは、下手に売ったりしなければ確実に儲けられる話なのですが、一般には扱われていません。

また、当時は「○×という新規公開株があるんですけど、買いませんか?」という話を証券会社から持ちかけられたこともありました。新規公開株は公開前に入手して公開後に売ると、ほとんどのケースで儲かりますから、だれもが買いたがります。

いちおう、こういう新規公開株は、証券会社が抽選をおこなうことになっていますが、実際には太い客、つまり証券会社が仲よくしたい資産家のお客に割り当てられます。そのほうが証券会社も得しますからね。

金持ちには、ふつうの人とは違う情報とチャンスがめぐってきて、それで儲けられるのです。そもそもお金が数億円もないような人が配当金生活をするのはかなり厳しいので、配当金生活なんて、へたに目指さないほうがいいと思いますよ。

日本の税制は資産家の人がトクをする

2022年10月から、年収1200万円以上の人には児童手当がなくなります。これって「お金持ちだから手当いらないよね」という考えでしょうか? 僕はおかしいと思います。だって、年収1200万円の人に「子どもはたくさんほしくないね」と思わせてしまうことにつながりそうなので。

そもそも年収1200万円って、そんなにお金持ちじゃありません。世の中には金融資産が1億円、2億円ある人がいますが、彼らこそ本当のお金持ちです。

年収1200万円もらう会社員は、だいたいが毎日働きどおしで土日も仕事のことを考えたりする人たちでしょう。会社員だと、年収から税金や社会保険など3割ぐらいが差し引かれて、手取りは850万円ぐらいです。住宅ローンや自動車ローンを払い、子どもが2人もいたらせいぜい月に10万円ぐらいしか貯められないでしょう。そんな生活を20年間続けても、貯金は2400万円なのです。

逆に、資産2億円の人が、そのお金を全部アメリカの投資信託(インデックスファンド)で運用していたりすると、彼らの収入は年間で800万円近くになります。株で儲けたお金に対する税金は一律20%しかかからないので、なにもしなくても年間540万円が転がり込んでくるわけです。

日本の税制はサラリーマンには厳しく、逆に働かずに大金が得られるお金持ちが得するようになっています。僕なんかは、こういう「本当の金持ち」から多めに税金を取るほうがいいのではないかと思うのですが、代わりに年収1200万円以上の“金持ちっぽい人”がターゲットにされるわけです。

徳川家康の名言に「百姓(庶民)は生かさず殺さず」があります。この体質はいまも変わっていないようですね。