「相手を殺すか、自分が死ぬか」あなたはどっちを選ぶか
最近話題の、確率に関するゲームを1つ紹介しましょう。
決定ゲームというものです。
5人が車に乗って道路を走っているとき、道の真ん中に3人の人間が、いきなり飛び出してきたと仮定します。
あまりに突然のことなので、ブレーキを踏む暇もありません。
ブレーキを踏んでも制動距離が足りませんが、幸いハンドルを切って進路を変えることはできます。
ゲームなのであまり怖がらないでください。
そのまま真っすぐ進むと、横断歩道上の3人が死ぬことになります。進路を変えると、道路上の障害物にぶつかり、車に乗っている5人が死ぬことになります。
皆さんがこのような状況に置かれたら、どうしますか?
真っすぐ進みますか? あるいは進路を変えますか?
自動運転車に搭載するプログラムをつくるためのゲーム
次のシナリオに移りましょう。
今度は自分1人で車に乗っているとき、おばあさんが横断歩道にいるのを見つけます。
そのおばあさんをひき殺すか、進路を変えて自分が死ぬかの問題です。どうしますか? 進路を変えるか、直進するか。
大学の講義で質問すると、直進するという答えが最も多くなります。
また、状況が変わって、進路を変えれば車内にいる3人が死に、直進すれば車外にいる3人が死にます。
ただし、車外にいるのは成人女性が2人と子どもが1人、車内にいるのは成人男性2人と子どもが1人です。
どうしますか? 進路を変えますか? 直進すべきですか?
通常、この質問への答えは半々に分かれます。
次の状況は、車にドライバーが乗っておらず、直進すれば健康な人の方が死に、進路を変えれば体の弱い人が死にます。
どうしますか?
決定を下したら、さらにゲームを続けましょう。
いまと同様な状況ですが、どちらも健康な人の場合です。
また別の状況では、直進すれば猫が1匹死に、進路を変えれば4人の人間と1匹の犬が死にます。このときはどうするべきでしょうか。
もう少し複雑な問題に進みましょう。直進しても4人が死に、進路を変えても4人が死にますが、進路を変えた場合に死ぬのは泥棒たちです。
進路を変えますか?
泥棒をひき殺そうと決めた理由は何でしょうか?
もし、彼らが貧しさのせいで盗みを働いたとしたらどうしますか?
では、もう1つだけ聞きましょう。進路を変えると4人が死にますが、それは子どもたちです。直進すれば車内の人たちが死にますが、それはみな老人です。どうしますか?
このゲームは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の機械工学科でつくられたゲームです。もっと言えば、自動運転車に搭載するプログラムをつくるためのゲームです。