逮捕前には2万~3万円を渡していた

相談してもらうには、信頼関係を築く必要があります。夜回りで声をかけたり、マスクや消毒液などのちょっとしたアイテムを渡したりします。「売春は犯罪だからやめなさい」と言うと女性が離れるだけなので、そうした説教はしません。

女性教師と見られる方とは、話を聞くために、歌舞伎町で2、3回、一緒に食事をしています。また、昨年11月の逮捕前には、2万~3万円を渡しました。

彼女から「性感染症にかかったけど、お金がないから貸してほしい」と言われたからです。

——その女性に限らず、今まで何人ぐらいの女性を支援してきたのでしょうか?

私が歌舞伎町での夜回りを定期的にするようになったのは、2018年秋からです。週1回程度から始めました。

新型コロナウイルスの感染が拡大していった、2020年3月ごろから、このエリアに注目し始めました。コロナの影響で、女性が増えると予想されたからです。実際にその通りになりました。

筆者撮影
大久保公園の近くにはホストクラブが多く、派手な看板を掲げている

緊急事態宣言下で目にした「異様な光景」

緊急事態宣言が出ると、キャバクラ、ガールズバー、デリバリーヘルスやソープランドなどが休業に追い込まれました。こうした夜職の女性たちが、街娼として流れてきました。

次第にコロナでダメージを受けた昼職の女性も加わりました。ホテルで働いていた、コールセンター業務についていたという女性たちと、話したこともあります。

昨夏はここの公園だけで、女性が軽く20人を超えていた夜もありました。立ちきれず、別の場所にも移動していたぐらいです。そこに声をかける男性やひやかしの男性がいる。異様な光景でした。

筆者撮影
売春行為をする女性が集まる大久保公園に立つ街灯

声かけして団体の資料を渡したのは、100人以上になります。そのうち、何らかの支援活動をしたのが三十数人になっています。

——支援した女性たちは、昼職がある人が多いのでしょうか? それとも街娼だけで食べているのですか。

街娼以外に定期的に稼いでいる昼職がある女性は、少数派です。「別に稼ぎがあるなら、体を売るなんてやめればいいのに」と思われるかもしれません。ただし、彼女たちには彼女たちの事情があるのです。