もちろん、実態として、特に男性の場合は、未婚より既婚の個人所得が多いので、厳密に夫婦それぞれの個人所得分布で分けると違ったものになりますが、一馬力であろうと二馬力であろうと、結局は夫婦一人当たりの所得も未婚男女の所得もほぼ同じであるというのは興味深い結果です。

男女には絶対的な所得格差があるわけではなく、条件を同じにして冷静に比較してみれば、こういうファクトが明らかになります。

「共稼ぎで家事も同等に負担」が男女平等なのか

一方、夫だけが働いていると、妻は夫に頭が上がらなくなるという話も聞かれるのですが、それも果たして実情と合っているでしょうか。コンサルティング会社の調査によると、日本では62%の夫が小遣い制といわれています。実際に稼いでいようがいまいが、家計の実権を握っているのは妻のほうではないでしょうか。日本には女性の管理職が少ないと言いますが、そうした家計を取り仕切る専業主婦は家の管理職だと思います。

なんでもかんでも夫婦が外で共稼ぎをして、家事も育児も同等に負担することが、男女平等なんでしょうか。それが、すべての夫婦が望む普遍的な価値観であるとは思いません。誇りとやりがいをもって家事育児をこなす専業主婦もいるでしょう。夫婦が夫婦間において納得した上で役割分担を決めているのなら、外野がとやかく言うことではありません。

サッカーのチームで夫が点を取るフォワードだからと、自分もフォワードをやっていたら、チームは機能しません。片方が選手なら、片方はマネジメント側として支えるという視点もあります。平等ではなく、支え、支えられという対等の関係性が夫婦にとっては大事で、それは個々の夫婦がそれぞれ築き上げればよい話だと思います。