若い男性の同性愛許容度はやや低い

こうした急激な変化をもたらしたのが国民のどのような層であるのかをうかがうため、男女・年齢別の許容度(平均点)を次に見ておこう(図表2参照)。

こういう新時代の価値観については、当然、若者が敏感で高齢者は古い考えを抱いたままと予想される。実際、2010年についても2019年についても若年層(29歳以下)の許容度が高く、高齢層(50歳以上)の許容度は低くなっている。ただし、高齢層の変化を見ると2010年から2019年にかけての上昇幅は若い世代と比べて遜色がない。高齢層まで含めた国民全体での意識変化が生じているといってよかろう。

一方、男女を比較すると2010年も2019年も各年齢層で女性の許容度が男性をかなり上回っており、女性の方が同性愛に対して寛容であることが分かる。

男女・年齢別の動きを見ていて、少し、奇異なのは男性若年層の動きである。2010年から2019年にかけて男性若年層だけ許容度の上昇幅がそれほど大きくなかったため、2019年の状況では、男性中年層(30~49歳)より許容度が低く、また女性との差が若年層だけ大きく広がる結果となっている。若い男性だけまだ古い考え方に囚われているとも見えてしまう。

世界各国の同性愛に対する見方は大きく異なる

こうした意識変化は日本だけの動きなのだろうか? 次に同性愛の許容度についての国際比較を見てみよう。

まず、主要国の最新年次の回答結果を比べてみよう(図表3)。

許容度の高い国の例としてスウェーデンを掲げた。スウェーデンでは10(全く正しい)に回答した人が72.3%と圧倒的に多い。平均点は8.7である。

次に、許容度の低い国として中国を掲げた。中国では1(全く間違っている)に回答した人が67.7%と圧倒的に多い。平均点は2.3点である。

一方、許容度が中程度の国として、日本と米国を掲げた。平均点が6.7の日本は1や10への回答も多いがその中間の回答もかなりある。米国は平均点では6.2と日本とそれほど変わらないが、具体的な回答結果は、1が19.3%、10が31.2%と1位、2位を占めており、その中間の回答はずっと少ない。

つまり、日本と米国は平均点では同程度なのであるが、国内の意見対立の程度が大きく異なるのである。米国の場合は、先の大統領選ではバイデン候補を推した民主党支持のいわゆるブルーステートの人々とトランプ前大統領を推した共和党支持のいわゆるレッドステートで同性愛に対する見方が、妊娠中絶などと並んで大きく対立しており、それが、こうした両極に分かれた回答分布に結びついていると思われる。